好きなの?嫌いなの?焦らされる心

こうしてはじまったKさんとのライン。たわいもないKさんとのやりとりは、ゆきこさんの心を優しく包み込んでくれました。心が徐々にほぐれて行く感覚を肌で感じながら、彼からのラインを毎日心待ちにするゆきこさんでした。
文字だけの会話が次から次にリレーする。ラインで繋がっていることが何よりも嬉しくて、幸せで泣けて来るほどでした。
Kさんのお陰で夫に対して優しくなれている。夫に対して今までみたいにイライラすることもない。ゆきこさんの夫への感情ははこうして平穏に保たれていました。
しかし、一方で平穏でないのは、日ごとに増していくKさんへの恋心の方です。
たった一度会っただけ。しかも、お客として行った先の美容師さんに恋をしてしまうなんて。
毎日毎日、朝から晩までゆきこさんの頭の中はKさんの事でいっぱいになります。
だけども二人には愛のささやきや甘い言葉はなどはありません。
自分のことをどう思っているのかわからないまま、もどかしい時間が過ぎて行きました。
だけども、お互い家庭を持つ身。
これ以上何かを求めたりしてはいけない。
と自分の今にも溢れ出しそうな気持ちを必死に押し殺すゆきこさんでした。
テクニシャン男からの素敵すぎる告白
そんな切ない時間を過ごすゆきこさんの心を見透かすかのように、送られてきたKさんからのメッセージ。
for Yukiko
久保田利伸 “missing“
言葉にできるなら少しはましさ
互いの胸の中は手に取れるほどなのに
震える瞳が語りかけてた
出会いがもっと早ければとI LOVE YOU 叶わないものならば
いっそ忘れたいのに忘れられない全てが
I MISS YOU 許されることならば
抱きしめていたいのさ光の午後も星の夜も Baby
Kさん、ずるいよ・・・。こんな曲、送ってくるなんて、ずるいよ・・・
あいたいよ・・・
今から迎えに行く
ゆきこさんを待っていたのは、真っ白いスポーツカー。ポルシェだった。オレンジ色のハザードランプに吸い寄せられる蛍のように、ゆきこさんはその車へ近寄って行きました。運転席から降りてきたkさんは、少し照れ臭そうにはにかみながら、彼女を見つめ、その頬にそっと触れます。優しくてあたたかい彼の手。嬉し過ぎて息ができないほどでした。彼女を乗せた車は。湾岸線を走っています。堺泉北臨海工業地帯のプラント群。まるで現実じゃない世界にいるようなシュチュエーションの中、揺らめく夜景に酔いしれながら、これから起きることに・・期待してしまうゆきこさんでした。

さて、このあとゆきこさんは、予想通りズルズルと抜け出せない愛の渦へ引きずり込まれて行きます。
焦らされたキスで燃え上がる気持ち
彼が車が停めた海の向こうには、堺泉北臨海工業地帯のプラント群。青い光や赤い光が美しく怪しく揺らめいています。
車の中からその夜景を眺めながら、怪しくも幸せな時間がゆっくりと流れます。時折の沈黙・・・その度にドキドキしながら、彼からのキスを待つ。準備と覚悟は出来ている。だけども彼はなかなかキスをしてこない。早くそのくちびるに触れたい。早くちびるを奪ってほしい。キスキスキス・・・・。その瞬間を今か今かとドキドキしながら待つゆきこさんでしたが、結局、その日は何もなく、手さえ握ってくれませんでした。
久保田利伸 “missing“ あの曲はなんだったの?
ゆきこさんの気持ちは、悶々とします。私のこと別になんとも思ってないの?あの曲は単純に、彼が好きな曲だっただけ?あんなに優しい瞳で私を見つめ、優しい手で私の頬を包んでくれたよね?あれはなんだったの???もう何がなんだかわからなくなってきて、不安な気持ちが膨らむのと同時に、彼に対する気持ちもどんどんどんどん膨らんでいくのでした。
